2. 保険業界の成り立ち

生命保険は素晴らしい金融商品です。負えない金銭的リスクをヘッジし、資産を運用し、相続や税金面でも優遇されています。日本においては約87.5%※1もの世帯が加入し、市場規模は年間約30兆円(平成19年度収入保険料。簡易保険を含む)※2を有していることからも、日本は世界有数の保険大国であるといえます。
ここでは過去の歴史から紐解いて対面での販売が基本の既存の生命保険会社とネット生命保険会社との違いについて解説します。

※1平成18年度生命保険文化センター全国実態調査 ※2 平成20年生命保険協会調べ

<戦争未亡人への職場の提供>

戦後、一家の大黒柱を失った戦争未亡人へ職場を提供してきたのが生命保険業界です。本来、価格も商品もばらばらであるはずの保険商品は、全社ほぼ共通の商品、価格で販売され、試験を受け、ある一定以上の専門知識があれば、保険営業は誰でも可能な職業となりました。

当時のお客様は保険商品を比較検討する必要が無く、就職先への訪問セールスの方から訳も分からず勧められるまま加入していたり、取引先や親戚・知人からの紹介で仕方なく加入する「義理・人情・プレゼント」(これを保険のGNPと呼んでいました)が契約に至るかどうか?を左右していたケースも多かったと言われています。

この頃に保険加入した方へ「なぜこの生命保険を選んだのでしょうか?」と質問すれば「勧められた商品だったから」と言う答えが大半だったでしょうね。でも、生命保険料って一生涯で数百万円以上になる住宅の次に高いお買い物なのに!・・・ですよ。

<金融ビッグバン!で保険の自由化>

戦後半世紀以上が過ぎ、世界との距離も縮まり「グローバルスタンダード」が叫ばれるようになった1997年、我が国でも「金融ビッグバン」と呼ばれる政府主導での保険業界を含めた金融の自由化が起こりました。以降、保険商品設計や価格、販売チャンネルなど、様々な場面において本格的な自由競争の時代に入りました。これにより消費者にとっては「多種多様な保険商品を自由に選べる」嬉しい改革になりました。

<乗合代理店の登場>

一方、それまでひとつの保険会社に属し、所属している保険会社のの保険商品しか販売することができなかった保険セールスが、現在では複数の保険会社の商品を販売できる「乗合代理店」が認められ、総合保険代理店がたくさん誕生しました。そのため、お客様は1社の代理店で複数の保険会社商品を比較検討できるようになりました。

生命保険乗合代理店の仕組み図

<保険商品、どれを選べばよいか分からない!>

金融ビッグバンから10年以上が過ぎた今、様々な保険会社の設立、生命保険商品の多様化で消費者も「どの保険商品が自分にぴったり合うのか?」が解らなくなってしまっています。今まではテレビでも新聞でもラジオでもネットでも、保険の広告に触れない日はないのでは?というくらい様々な保険会社、保険商品で溢れています。こんな状況で保険を選ぶのは至難の業ですね。

保険加入時に、保険セールスの方に相談するのもいいでしょうが、一度相談すると何だかその方から加入しないといけないような気になって、相談しづらい状況もあるようですすし…。そこで登場したのが複数の保険会社商品を取り扱う来店型の保険ショップ、気軽にお店で相談に乗っていただくこともできるようになりました。とは言え、保険ショップで相談しても似たような状況には変わりなく、誰にも会わずに保険に入りたい!と希望している方も。そこで誕生したのがネット生保です。ネット生保が販売する保険商品はシンプルで分りやすい生命保険商品が多く、複雑な特約になっていません。基本的に必要な知識さえ身に付ければ誰でもが気軽に生命保険、医療保険などにご加入が可能になったのです。

今後のネット生保業界

国内で販売されている生命保険商品はたくさんありますが、そのほとんどが保険セールスとの対面での販売が主流です。金融ビッグバン以降、ネットや電話で資料を請求し、郵送でご加入いただける通信販売が可能なネット保険も登場しました。自動車保険もネットで加入する自動車保険の契約が伸びています。ただし、ネットで加入・申し込みできるタイプのネット保険は、商品が限られてきます。ネット生保の商品は、定期保険、医療保険、がん保険など、どなたでも理解しやすい保険商品が主流です。変額年金や外貨建て保険商品など、貯蓄性や運用性の高い保険など、説明をよく聞いて理解が必要な保険商品は、今後もしばらくは対面でのご加入となるでしょう。

前出のように、全ての生命保険商品がネットで申し込める状況にはならないでしょうが、それでもネットで申込み可能な保険商品は増え続け、ネクスティア生命保険、ライフネット生命保険の後に続くネット生保の誕生も予想されます。そうなった時に私たち消費者は「自分で自分の保険を選ぶ知識を身につける」ことがとても重要です。ネット保険のメリットは安さ。そのメリットを享受するためには自分で保険に関する知識を身に付け、自分にとって正しい保険選びができるようになりたいですね。

ネット生保の成り立ち比較